日本旅行業協会(JATA)は3月26日、旅行会社の国内旅行事業(訪日旅行を含む)での役割や需要創造の可能性を研究する「国内旅行マーケットにおける新たな役割研究会」を立ち上げた。ツーリズム業界に新興ICT企業や海外OTAなど新たなプレーヤーが参入し、従来の商品や販売スキームが曲がり角を迎えていることから打開策を模索していく。
研究会開催の背景として次の5点を挙げる。(1)新規参入の脅威=国内・海外OTAによる事業拡大、グーグルなどのプラットフォーマーによる旅行事業への参入。(2)供給業者の交渉力=インターネットによるダイレクトマーケティングの加速、訪日外国人旅行者の増加などによる需要拡大により宿泊施設との仕入れ交渉が困難。(3)=代替品の脅威=デジタルネイティブ世代が増加し、さらにモバイルデバイスの普及により、店舗からオンライン販売へシフトしている。(4)買い手の交渉力=SNS、比較サイト、口コミなどにより消費者の情報量が大幅に増加し、事前に調べてから店頭に来る「ウェブルーミング」や店頭でパンフレットを入手した後にネットで購入する「ショールーミング」が増加。(5)業界内の競合=企画旅行商品だけでは差別化が図られず、価格競争に陥っており、収益性が低下している。
研究会では、旅行会社の現状や外部環境を把握し、旅行会社の強みを理解した上で、ターゲットの再設定、自社の商品・サービスのブラッシュアップ、顧客とのリレーションシップの構築方法を検討し、旅行会社としての顧客に対する役割を考える。最終的にとりまとめて報告書を作成する。
JATAの高井晴彦国内・訪日旅行推進部長は「タビマエ、タビナカ、タビアトというお客さまの時間軸と、対お客さま、対サプライヤー、対地域、というステークホルダーごとにどういうことができるかを報告する。JATA会員のみならず旅行会社に何らかの経営のヒント、ビジネスの機会となるものを提言したい」と方向性を示す。
3月26日から来年1月21日までに計6回開催。メンバーはJATA会員会社を中心とする13人で、日本旅行の大槻厚・取締役常務執行役員営業企画本部副本部長が座長を務める。